Myke

グリーンマイルのMykeのレビュー・感想・評価

グリーンマイル(1999年製作の映画)
4.5
現在の世界は、コロナ禍により
「生と死」や「他者への思いやり」について
より一層関心が高くなっているように感じますが、
この映画を観てさらに関心が高まりました。

ジョン・コーフィーのように
“黒人だから”という理由で罪なき者が裁かれたり、
ジョンのセリフから、
人の愛を利用した殺人などの非人道的な出来事が、
世界では未だに起こっています。
その出来事を改めて直視したときに、
この上ない絶望感をあらためて抱きました。


この映画では
「人を裁く権利や資格を持つ者はいない」
「裁いて良いのは善人のみ」という
キリスト教の教えに沿っていたように、

私も死刑に対して否定的な意見です。

なぜなら、裁判は人間が行っています。
ジョンが無実の罪であったように、
誤審・冤罪により無実の人を救えないことは、
とても悲惨です。

そして究極は、人間は、どんな人であれ、
人である以上、いずれ必ず亡くなります。
だから、わざわざ人の手で殺める必要性はないと思うのです。

死刑を指令をする人、実行する人は心身ともに過酷です。
普通の精神状態ではいられなくなります。

とは言っても、、、
もし自分の家族や大切な人たちが殺されたら、
今までにない悲しみと憎しみでいっぱいになり、
綺麗事は言えないかもしれない。
ウォートンのように反省はおろか
人をみくびった態度をされると
死刑を望んでしまう気持ちになるかもしれません。

でも、私はそれよりは
もっともっと根本的で
大切なところに目を向けていきたいと思いました。

そもそも殺人は、人間が犯す罪です。
人は生まれた時に「よし!人を殺そう!」
と思って産声をあげていません。
社会の在り方や育った環境が人の心をボロボロにし、
殺人者に仕立ててしまったのかもしれません。

そこに着目し、一人一人が相互理解を深め、
生命尊厳を訴え、人として正しい心をもつために、
正しい教育、正しい政治、正しい哲学、正しい宗教が、
世界には必要だなと思いました。

憲法 13 条には(←一応法学部出身です)
「すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、
最大の尊重を必要とする。」と定めています。

民主主義をうたっている日本ですが、
死刑は、生命がある国民の権利を
奪うことにつながるのではないかと思います。

生命尊厳の観点から考えてと
死刑に対して反対の気持ちは強まるばかりです。
(無力な訴えの上に、映画レビューから逸れてすみません。)
Myke

Myke