特に心に残っているのは、
バイオリン、フルート、ピアノの旋律が印象的な
この映画のテーマ曲です。
ノスタルジックで、どこか懐かしさを感じ、
全体を優しく包んでくれているようでした。
みんなに愛された街の唯一の映画館、
ニュー・シネマ・PARADISOが取り壊されるときも、
この音楽が流れており、琴線に触れ、
私もこの映画館と共に育ったようななんとも言えない、
胸がいっぱいの気持ちになりました。
私は東京に住んで11年目となりますが、
生まれ育った山口県の故郷と、
家族や幼なじみ、優しくしてくれた近所の方々、
初恋の人、実家、砂利道、あの坂道、川、一両電車、
最寄りの無人駅、夏の夜の網戸越しに聴こえる虫の声など、
自分の故郷を思い出すだけで涙が出そうになります。
そんな優しくてとっておきの気持ちを
この映画は、一気に思い起こさせてくれました。
そして、映画は薄れていく記憶も鮮明に上映してくれるので
忘れたくない過去へと
いつでも帰ってこれる場所なんだと思いました。
◯印象に残ったお芝居
アルフレードの
「人生はお前が見た映画とは違うんだ。
人生はもっと厳しいものだ」と、
青空の下、トトへ伝えるセリフ。
子供がいないアルフレードと父のいないトト。
アルフレードはトトへ映画の仕事のみならず、
生と死、そして愛を
身をもって教えてくれました。
一つの人生が詰まった愛のある映画でした。
