湯林檎

戦火の馬の湯林檎のレビュー・感想・評価

戦火の馬(2011年製作の映画)
3.7
あけましておめでとうございます🌅🎍 
そして今年もよろしくお願いします😊🎞

新年最初の映画は世界一の映画監督スピルバーグの作品のこちらの映画で。 
とは言っても特に観る予定はなく、乗馬を習っている馬好きの妹が勝手に借りてきたので久しぶりに姉妹で一緒に映画鑑賞したというw

結論から言うと、戦争における人間と動物の関わり合いで生まれる愛おしさと憎しみをジョーイという馬の視点から描いた抒情的な作品だと感じた。原作はロングヒットされた舞台作品及び児童文学なだけあって物語のテーマや事の運び方はとても分かりやすい。戦時中が舞台の作品だけど流血シーンや生首が飛ぶは皆無で小中学生で観ても多分問題はない。

馬のジョーイの飼い主(育て親)のアルバートの両親は貧しい上に酒癖の悪い父親(過去に色々と訳あり)と頼もしくて肝っ玉の母親という決して恵まれた環境ではないものの、少年時代から馬を愛していて懸命にジョーイを育てていた一途な思いはとても好感度が高い。この辺のアルバートの設定は児童文学の主人公としてとても理想的なキャラクター像だと思う。
最初にジョーイを引き取るニコラス大尉の紳士ぶりはまさにトム・ヒドルストン(トムヒ)のハマり役とも思え、実際にエリート階級出身の彼ならではの品の良さと知性を強く感じた。MCUのロキもいいけど個人的にはこういった役柄のトムヒをもっと観てみたい。

ビジュアル面に関しては冒頭のイギリスの田園風景がとても美しく、石造りの家で暮らすアルバート達の家族の家もピーターラビットの絵本を読んでいるかのようでとても可愛らしい。コロナ禍で海外渡航が困難な中、映画を通して海外の情景を楽しめることはとても嬉しい。

ジョーイはその後紆余曲折して色々な国や地域を転々とするものの、どこの場所に行ってもジョーイを助けてくれる人々がいる。人間達は戦時中で日常茶飯に人殺しを行っているせいか本来の優しさを失っている中、貧しくてお金がない人でも本来敵同士の人でもジョーイを放って置くことができないのは人間ならではの感情だろう。まさに優しさと惨さが一体となった生き物だということを痛感する。ジョーイが各々の場所で出会った人々の優しさはどれも本物なのは間違いない。短期間でありながらもジョーイが色々な人達と触れ合えたことは良くも悪くもジョーイの人生経験にもなったはず。こういった部分は我々人間にも通じる部分があると思えた。

とは言え一緒に観た妹はどうも馬達が悲惨な目に遭っているのを観るのが耐え難かったとのことなので、本当に心から動物を愛している人には意外と厳しい作品なのかもしれない💧 

戦争映画を観たいけど、残酷すぎる描写が苦手な人にとってちょうど良い映画だと思う。
湯林檎

湯林檎