うめまつ

異人たちとの夏のうめまつのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
3.8
本当にどうかしている。ずっと不可思議なことは起こりつつも《ほっこり不穏》な空気を維持してたのに、ラストにぶち込まれる怒涛のオカルト展開に完全に置いていかれるし、それを最終的に「どうかしていた」で片付けようとするとこが面白い。やりたい放題やっといてあっさり回収するんかい、とツッコミたくなる。

28年ぶりに再会する死んだはずの両親が、片岡鶴太郎と秋吉久美子なのが絶妙に浮世離れしてて《思い出の中の(多分ちょっと美化された)両親》感が際立っていて上手い配役だと思う。世話好きで溌剌とした若く美しい母と、江戸っ子みたいに自由で友達みたいな父。あの異空間のやりとりも脚本家である主人公が組み立てた理想の粗筋なんだろうな。

ところがどっこい飛び込み参加の名取裕子は全然筋書き通りに行かない。チーズ占いで「傲慢」と指摘された時点で気付くべきだったね。かと思えば永島敏行は律儀だし親切だしめっちゃいい奴じゃん。。って思ってたのに「あなたが好きなんだな。それが高じて奥さんまでよくなった」は一番身近なホラーだよ。やっぱりみんなどうかしている。

階段の上の家/部屋の内側から吹く風/冷たい父の掌/キャッチボールと花札/鏡に映る顔と胸の傷/蝉の鳴き声/アイスクリームとすき焼き/弔いの割り箸
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