うめまつ

ナイト・オン・ザ・プラネットのうめまつのレビュー・感想・評価

4.2
昔好きだった人や最近好きになった人達が、入れ替わり立ち替わり出て来て地球を滑る箱の中でちょっとだけ親密な会話をする、なんて素敵なオムニバスなんでしょう。映画を偏愛している人達へのご褒美みたいな映画ではないですか。夜色の箱に詰めて星色のリボンをかけて誰かに贈りたくなる。もちろん好きです。

<LA>
ジーナ様になってウィノナが運転するタクシーに乗るのと、ウィノナになってジーナ様をお客で乗せるのどっちがいいかな〜ってずっと考えてた。でもやっぱりジーナ様に「Sure mama」って言いたいから、運転免許を取るところから始めようかな。道のりは長い。

<NewYork>
この話が一番好き。こんな微笑ましい夜が今日もこの星の何処かにあって欲しい。お節介で家族想い(でも義妹には絶賛キレられ中)なヨーヨーと、運転はできないけどサーカスの世界で豊かに生きてるヘルムートが全然噛み合ってないのにナイスコンビ。

<Paris>
ベアトリスかっっっっこよ。映画全編に渡って格好良い女性しか出てこない時点で嬉しいのに、盲目の女性をこんなにピリッと辛口に仕上げてくれる監督の姿勢にニヤリとしちゃう。2024年には黒人の方の肌色にも合う絆創膏が発売されてる分だけ、進歩していると思いたいな。

<Rome>
このベニーニの運転するタクシーにだけは乗りたくない。サングラスしてても顔がうるさいよ。「天才ホテル」ってワード1つで繰り広げられる逞しい想像力には舌を巻いたけど、自分で自分に疲れないのかな。疲れないんだろうな。全然なりたくないけど羨ましい。

<Helsinki>
(役者の顔ぶれが)カウリスマキだけど(台詞の量が)カウリスマキじゃないので不思議な感じ。沁みる話なんだけど、直前のローマ編でふざけ倒してたので急にしゅんってなって温度差に風邪ひきそうになった。この話をよりしんみり味わうために、次はパリ編とローマ編の順番を逆にして観ようと思う。
うめまつ

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