シネフィルmonk

あこがれのシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

あこがれ(1958年製作の映画)
4.0
ひるがえるスカートともにさわやかに風を切って自転車を乗り回す18才のベルナデッド・ラフォンの美しさが印象に残る25才のトリュフォーの本格的短編処女作。
5人のいたずらっ子たちが彼女に夢中になり、彼女の行く先々をどこまでも追いかけ回す。彼女が腰掛けていたサドルにその残り香を嗅ぐ。恋人とのデートの最中を襲ってキスの邪魔をする。トリュフォーと親交の深かった山田宏一氏によると、オリジナルは23分の作品だったが、恋人役のジェラール・ブランのでしゃばり過ぎるシーンをトリュフォー自身がカットして19分に再編集したそうだ。
やがてヌーヴェルヴァーグの旗手になるトリュフォーの短編処女作らしく、仲間の映画や映画史へのオマージュシーンも登場させる。恋人たちが映画館で見る映画は「カイエ・デュ・シネマ」の同人、ジャック・リヴェットの『王手飛車取り』で、ラフォンが恋人とテニスをするシーンでは、リュミエールの『庭師』の水を撒かれた水を撒く人のギャグが再現される。
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