chichichi

アーティストのchichichiのレビュー・感想・評価

アーティスト(2011年製作の映画)
5.0
サイレント映画ってことで敬遠してたわけじゃなかったけど…ほんとにもっと早く観ていればよかった。

賛否あるみたいだけど、私にとっては、ストーリーも俳優の演技も音楽も心を鷲掴みにさせてくれました。

アカデミー賞で、5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、作曲賞、衣装デザイン賞)を受賞した作品です。


ストーリーは、トーキー映画の出現によって悩まされたサイレント映画大スターの物語です。

舞台は1927年のハリウッド。
サイレント映画のスターのジョージ・ヴァレンティンは、女優志願のペピー・ミラーと新聞の表紙に撮られたことからジョージの映画でエキストラとして出演することになるのですが…
その後、時代は、サイレントからトーキーへ変わっていきます。
ペピーは、時代の流れとともに成長、作品の主演になり大女優となる。
一方、ジョージはサイレントにこだわるあまり 自ら作り上げた作品を撮り上げるも大失敗し奈落の底に落ちる
さあ、惹かれ合う2人はどうなるの…

映画の内容に対しての音楽の使われ方や重要性も再認識させられました。
最新の映像技術に頼らなくとも、こんなに素晴らしい映画は作れるんですね。
とにかく、このセリフに頼らない表情と演技力!

サイレント映画の映像とオーケストラの音楽が全身に伝わってくるような感覚でした。

役者の表情とオーケストラの音楽で何を喋っているかよりも、どういう気持ちで喋っているのかの方が字幕がないのに台詞以上にスッと入ってくる。


ジョージの笑顔が最高で魅入っちゃいました。
燕尾服を小粋に着こなし、微笑んでいるお茶目な彼をもっとたくさん見たかった。
好きなシーンの一つに、ジョージとベビーの何度も取り直した二人のダンスシーンと、ジョージが楽屋でベビーに"女優を目指すなら目立つ特徴がないと"とホクロをそっと書いてあげるシーンがとっても好き。

途中、サイレントからトーキーへと忘れ去られていくジョージの苦々しい様子の場面が彼の表情と音楽と相まってとっても辛かったです。

シンプルなストーリーに登場人物達の豊かな表情と演技力、それに添えられた心情を豊かに表現する魅力的な音楽。

ラストシーンの出逢った時と同じタップダンスがもう素敵過ぎます!
そして、二人の息遣いとジョージの最初で最後の耳に聴こえる台詞…
"はい!喜んで"
ふぁぁぁ…ため息が出ちゃう

何度も言うけど、台詞で表現できないからこそ、出演者の仕草や表情等の演技が心に柔らかく深く響いてくる素敵な作品でした。

私にとっては間違いなく今年出逢ったベストムビー!

あっ、ワンチャンのアギーもとっても表情も演技がうまいしお見逃しなく♡
今作で"パルム・ドッグ"を受賞してるんです!
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