おーたむ

ミスター・ミセス・ミス・ロンリーのおーたむのレビュー・感想・評価

3.0
70、80年代邦画が面白そうに見える病の症状で、さらにもう一本借りてきました。
ふーむ。
んっ?てなる映画でした。

何しろ本作は、「こういう映画ですよ」ということが言いにくいです。
見終えてポカンとしちゃって、DVD特典の原田美枝子さんのインタビューを見て、ああ笑うような映画なんだと思って、じゃあそういうつもりで見てみようともう一度見てみて、結局ポカンとしちゃったという、私には理解の及ばない作品でした。
あらすじだけ見ると、ラブストーリーにクライムサスペンスを掛け合わせたような話のように見えたんですけど、そもそもこの作品、ストーリーはあくまでディテールを見せるための方便という感じで重要ではなく、だから、事の顛末に興味を持って本作を見た私は、キツネにつままれたような感覚に陥っちゃったのかなと思います。

といって、ディテールに惹き付けられたかというと、私は特にそんなこともなく。
笑える映画らしいのですが、どこで笑えばいいのかがよくわかりませんでした。
たぶん、どんな映画も、完全な完成図は監督さんの頭にしかなくて、その完成図のどこをどう撮ってどう見せるかが監督の手腕なんだと思うんですが、本作はその完成図の中でも、全体像を想像しにくい部分を見せられてるような印象を受けましたね。
映画関係者が来た試写会ではウケたけど興行的にはコケたというエピソードを聞くに、本作は、作り手の感性に合うか合わないかが、かなり極端に分かれる作品だったんだろうなと思います。

まあ、この時期の原田美枝子の浮世離れした容貌を写し取ったということだけでも、本作には価値があるとは思います。
顔のどアップであれだけ画面が持つって、やっぱりこの人はひとかたならぬ女優さんだったんだなと思わせられますから。
宇崎竜童、原田芳雄ら主要キャストも、脂がのりきっている時期で、それぞれのキャラクターを生き生きと演じています。
ただしかし、そこら辺の良さって、作品の核じゃないようにも思うんですよね。
この作品の核がどこにあって、その魅力がどんなものなのか、親切などなたかに解説してほしい気分が残りました。
おーたむ

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