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ハードロマンチッカーのtakのレビュー・感想・評価

ハードロマンチッカー(2011年製作の映画)
1.0
観る前から暴力的な映画とは聞いていた。バイオレンス映画は嫌いだが、それでも独特の美学を感じられる映画だったらクエンティン・タランティーノやサム・ペキンパー監督作のようにむしろ好む映画もあった。スーヨン監督の「プルコギ」は大好きな映画だけに、苦手かもしれないけど好きになれる要素もあるかも、とかすかな期待をしつつ劇場へ。

正直席を立とうかと思った。在日朝鮮人の主人公グーが明け暮れる暴力にまみれた日常が綴られる。淡々とした雰囲気と淡い色彩の映像が映し出すのは、理屈のない暴力の連鎖。数分おきに誰かが殴られ、女の子は押し倒される。セックスとバイオレンスの終わりなき羅列。そうなるに至った主人公やその背後にある心情を掘り下げることもない。暴力描写に美学もなにも感じられない。何が撮りたかったのだろう。

こういう映画を商業ベースで撮って、フツーにそこらの映画館で上映される日本はルーズ過ぎない?ちょっと麻痺してない?久々に映画に嫌悪感を抱いた。

ヒューマニズムを少しでも感じさせるところがあれば、もうちょっと違った見方もできた気がするのだが。繰り返し口にされる「オレには関係ねぇ」と同じように、人を思う気持ちすら理解できないってことなのか。全編を通じて成長物語にも何にもならない。

原作あってのものだけど、観終わって残るのは、やっぱりステレオタイプな「暴力の街」のイメージ。これが関門海峡周辺のイメージだと植え付けられる人は確実にいるだろうな。ともかく個人的には、久々に「嫌」と思える映画だったんでした。

試写会にて鑑賞。
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