ハッピーアイスクリーム

パプリカのハッピーアイスクリームのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.4
とある研究所で開発された他者と夢を共有する装置DCミニ。そのDCミニを盗んだテロリストを追うサイコセラピスト・パプリカの夢と現実を股にかけた追跡劇を描いたSFアニメーション。

科学を吸い込むゴミ箱。

筒井康隆の同盟小説を『東京ゴッドファーザーズ』の故・今敏監督が手掛けた最後の劇場長編アニメ。アメリカでも公開され高い評価を受けた。

人が眠っている間に見る夢と現実の世界が入り乱れた複雑な世界が描かれた、夢の存在と価値についてとても面白い解釈をしている作品でした。

夢を乗っ取られた人が発する言葉の羅列が印象的。滅茶苦茶な夢を言葉で説明した感じ。まったくもって意味不明なのだけど、文節があまりにも自然で不思議な感覚になる。
それを表現しようとした試みもすごいのですが、ここまで映像で具現化しているのもお見事です。
平沢進のシュールな音楽もマッチしている。パレードの曲が頭から離れない。

“思い知るがいい 三角定規たちの肝臓を”

“深遠な夢の前にあっては 科学などゴミに等しいのかもしれん”

夢とは他者の介入を許してはいけない個人の聖域みたいなものなのかもしれない。
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生前、自身の世界観について今敏監督はこのように語っていたそうです。

“「晴れやか過ぎて気持ち悪い」
「晴れやか」というポジティブなイメージと「気持ち悪い」というネガティブなイメージが同居する。
こうした相反するイメージの平然たる同居こそ私が目指す世界観 ”

監督の目指したイメージ。この狂喜乱舞の世界は必見です。