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ロッキー4/炎の友情のユートのレビュー・感想・評価

ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)
3.4
ドルフ・ラングレンを掘り出したという意味ではアクション界に大きな功績を残した作品であり、結果的に最新作「クリード」へ繋がった作品。


◼︎ プロパガンダ?

公開当時が1985年ということで、冷戦が終結しつつある時代。
ここにアメリカとソ連のエキシビジョンマッチを持ってくるというプロパガンダのような背景を感じる。
ラストのヒーローインタビューでロッキーが語るセリフなんかまさにそれ。
永きに渡る冷戦がようやく雪解けムードに入り、それを後押しするかのようなあのヒーローインタビューはなかなか深いと思います。



◼︎ 演出やりすぎじゃない?

ロッキーもシリーズ4作目を迎え、前作に対戦した野生のモンスターのようなクラバー・ラングを超える強敵が必要となった。
ここで登場したのが異国の地で肉体改造されたボクサー、ドラコ。
ハイテクを駆使し、計算され尽くした無駄のないトレーニングによって作り出されたイメージは「ターミネーター」のようなマシーンだと思う。
このイメージにドルフ・ラングレンがぴったりはまっていて、ここまではすごく良いと思う。
が、ハイテクが物語全体に波及し過ぎてしまっているように感じた。
もっとも幻滅したのがロッキーがポーリーにプレゼントする意味不明なロボット。
人間ドラマに重みを置く作品の中に急にSF色が入り込んできてしまい、僕の思考回路はこいつをどう処理していいのか全くわからなかった。



◼︎ 曲の使い方が残念

ロッキーシリーズは数々の名曲を生み出してきたシリーズだと思う。
本作でもバーニング・ハートが有名となった。
ロッキーシリーズにおいて名曲として残っている曲のほとんどは、ロッキーがハングリー精神を取り戻した時に流れる。
やっぱり物語が絶頂の時に、それとマッチした曲が流れるため、鮮明に最高のシーンが曲とともに残るからだと思う。
本作ではロッキーが落ち込み自己嫌悪におちいるシーンにも歌詞付きの曲が使われているが、このシーンがなかなか寒い。
結局どんな曲はあまり印象には残らず、寒いスタローンの姿だけが残ってしまった。
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