ユート

グラン・トリノのユートのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.6
レビューお引越し中

タイムラインうざかったらしばらくフォロー外してくだちいm(_ _)m

とりあえず「グラン・トリノ」というタイトルについて。
車に興味がなければ意味不明なタイトルだろうし、車に興味があればフォードのトリノが爆走するレースのような映画か、クラシックな雰囲気の映画かを想像するだろう。
本作の「グラン・トリノ」は紛れもなくアメ車を指し、本作でトリノが意味するものは”古き良き時代のアメリカ”である。
トリノやマスタング、インパラといった60〜80年代のクラシックカーは、まさに”古き良き時代のアメリカ”の象徴であり、いまだ多くの人々から支持を受けている。
作中でも描かれるが、トリノは今の若者であっても盗みたくなるほどカッコイイ車なのです。

トリノをこよなく愛し、まるで新品の状態で保つ本作の主人公ウォルトは、そんな”古き良き時代のアメリカ”に取り残された人物像を語っているようなタイトルだと僕は解釈しています。


さて、本作はよくクリント・イーストウッドの集大成だと称されます。なぜそう称されるのか、それはイーストウッドがこれまで演じてきたキャラクターたちの中に答えがあります。
「荒野の用心棒」や「ダーティーハリー」、「許されざる者」など数々の名作を世に生み出したイーストウッドですが、これらが名作と言われることを担っている一つがイーストウッドが演じる個性豊かなキャラクターたちにあるでしょう。
そのキャラクターたちを踏襲し、融合させ、歳をとらせたようなキャラクターが本作の主人公ウォルト・コワルスキーなのです。
さらに往年のイーストウッドファンなら、本作のラストは自然とどうなるか想像してしまうことでしょう。
しかしイーストウッドは今までのキャラクターを全て否定するかのようなラストを用意しました。僕自身、初めて見たときはかなりの衝撃を受け、ラストが語る説得力をより強力なものにしているのだと思います。だからこそ集大成と呼ばれるのでしょう。

本作のテーマ的な部分をいうとあるレビューサイトに書いてあった、”老兵は死なず、ただ消え去るのみ”という言葉が本当にピッタリの作品です。
この言葉は太平洋戦争においてアメリカ陸軍元帥、連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサーが退役する際の演説で口にした言葉です。

《老兵》とは”幾多の戦火を駆け抜け、友の死を乗り越えて生き抜いた英雄”のことであり、《死なず、消え去るのみ》とは”肉体が滅びようともその勇姿は永遠に生き続ける”といった意味だと考えます。
ただの頑固ジジイに見える主人公ウォルト(クリント・イーストウッド)ですが、激動の時代を生き抜いたウォルトが、現代の若者へケジメのつけ方を教えてくれている。そんなラストに感じました。
ユート

ユート