さすらいの用心棒

星の王子さまのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

星の王子さま(1974年製作の映画)
4.2
児童文学の傑作『星の王子さま』をミュージカル映画化。

何度も読み返すほど大好きな原作だし、サンテグジュペリの生き方に尊敬するものを感じるひとりとしては、やっぱり中途半端な映像化は許せないし、おのずと求めるハードルも上がってしまうのだが、原作にかなりにじり寄りつつ独自のカラーを入れている映画で、かなり嬉しかった。

つくりものめいた美しさの中で、原作のコスプレのような衣装もまったく違和感がなく、詩のようなセリフがすんなりと心に染みてくる。予てから懸念していたミュージカル要素も思いのほか名曲ばかりで、のちのマイケル・ジャクソンにも影響を与えたという映画監督ボブ・フォッシーのダンスシーンも圧巻だった(ヘビの衣装も監督作『キャバレー』から飛び出してきたような装いで、ツボだった)。

ポップで洒脱な画作りは、原作に近づけたというよりは『雨に唄えば』『パリの恋人』を撮ってきたスタンリー・ドーネン監督の作風がマッチした面が大きいだろう。この人を監督にしたのは大正解だったと思う。

個人的には灯台守のエピソードをすっ飛ばしたのが惜しいが、絶対に外してほしくないと思うセリフは全部入っているし、これ以上の映像化はないだろう。