このレビューはネタバレを含みます
家族が他人として立ち現れる瞬間、と書くとおよそ物語にとって普遍的なテーマを描いているわけだがモノローグでわかりやすく説明してしまう作劇がいまひとつ好みではなかった。光の明暗が雄弁な映像は素晴らしい。
(追記)
…と書いてから思ったが、「私がこんな酷い目にあっているその訳は…」ってこれ、フィルム・ノワールの話法か。だとすると、劇中イレーネの出演作、そしてイレーネと父との電話で彼女が語ったであろう彼女の人生含めて、ノワールの入れ子になっているのだろうか。
さらに言えば、主人公の視点で語ればこれは失・楽園の物語だけれど、父親を中心に据えると彼の周りの女性は皆不幸になっていっており、父親こそこのノワールにおける顛倒した宿命的悪女なのだと言えなくもない…?
なんだこりゃ。ちっともわかりやすくない!