暮色涼風

デリカテッセンの暮色涼風のレビュー・感想・評価

デリカテッセン(1991年製作の映画)
3.9
食べ物以外の物で溢れている荒廃した世界のセットや装飾、音とテンポの使い方、人物のアップの構図、ユニークな立ち回り、ジャン=ピエール・ジュネ監督のセンスはいつもツボにはまる。

選ぶ女優のタイプも良い。
マリー=ロール・ドゥーニャという女優さんがめちゃめちゃ愛らしいけど、『デリカテッセン』以外に情報が無い。他の出演作は無いのだろうか。

また、よく出てくる小道具である刃物の使い方が良い。
"何か"を切るために研ぐ音と、楽器としての音。
精肉店の男は包丁を研ぐ音で恐れや不安感を出し、主人公はノコギリで美しい音色を奏でることで安心させる。
この対照的な見せ方が良かった。

菜食主義の軍団は、『不思議惑星キン・ザ・ザ』に出てくる異星人っぽい。「クー」って言い出しそうだった。

話の筋とは関係ないけれど、これ=之、それ=其、また=又など、あえて漢字でいく日本語字幕には、この世界観を表すための表現意識と遊び心を感じられた。
暮色涼風

暮色涼風