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エコールのyのネタバレレビュー・内容・結末

エコール(2004年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

誰にもおすすめはしないけれど、個人的には★4.5

あどけない美少女たちが常にスラリと長い脚を晒し、森の中で暮らしています。
原色みたいにパキッとした色で年齢を区別するリボン、真っ白な制服、「習い事」の域を決して超えることのない未熟さで淡々と続くバレエ。
一糸まとわぬ姿をさらけ出すシーンもあり、髪や手で胸を隠したりもしません。

どんな昏い結末が待っているのだろうかと想像しながら観ました。
売春だろうか。人身売買だろうか。そんな怪しい空気に満ちたこの作品は、ひらけた広場であかるい陽のもと、開放的な噴水のシーンで終わります。
なんの説明もなく、それで終わり。
物語のあとに、彼女たちはどこかへ連れ去られたのだろうと考える人もいるでしょう。

閉じ込められることもなく、おかしな規則に縛られることもなく、同世代の男の子と出会って微笑みを交わした『普通の女の子』は、物語のあとも普通の女の子として生きていくのだろうとわたしは思います。
この映画は『大人未満の少女たち』を抽象的に描いた作品なのではないでしょうか。
ラストシーンが、このテーマをより強調するように思うのです。

大人になったら。
髪に結われたリボンのように、年齢で線引きされることはない。
行動範囲を遮る壁はなくて、広い世界を見渡せる。
だけど先生が言っていた通り、外の世界は素敵なものばかりではないから制服のように純白なままではいられない。
美しい肢体には否応なく『大人』の視線が降りそそぐから、無邪気に半裸ではしゃぐことはできない。
中には校長先生に選ばれた青リボンの子のように、早熟な子もいる。
まだまだ子どもだけど、アリスのように早く大人になりたくて背伸びしてしまう子もいる。
きっと多くはビアンカのように、大人になることにあこがれと不安を抱いている。
外の世界を知っても森に留まる先生たちのように、少女のままでいたいと願う大人もいる。

女の子は中学生になると、心も身体も否応なしに成長していく。いつまでも純真無垢な少女のままではいられない。
だから初潮がきたら森の外へ出ていく。
解放されるのではない。森にはいられなくなるのだ。

この作品が妖しくも美しく、昏くて歪なのは、『大人』との対比でつくられた『少女の理想像』を描こうとしたためだと思うのです。
だから、大人になった先には売春も人身売買もなくて、ただ普通の女の子としての人生が続くだけ。
わたしたちだって、何も知らないままある日突然大人の世界に放り出されたわけではありません。
心では理解できない頃から、第二次性徴や性犯罪について、学校や親から教わります。
ビアンカの年齢になった子たちも同じです。男性に一切触れさせないように育てて突然放り出すのではなく、『男性』というものを少しずつその肌で実感しながら大人になっていくのです。

…このような解釈で見るこの作品は、『売春や人身売買のための施設の映画』として見るよりも数倍、ロリコン向け映画です。
登場人物の生い立ちや社会的背景を一切切り捨てて『理想の少女像』を描いた作品なのですから。
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