Erica

2001年宇宙の旅のEricaのネタバレレビュー・内容・結末

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

3部構成で展開されるストーリー。

1部の主人公は、太古の地球に生息するヒトザル。彼らは赤褐色の岩肌が剥き出しの荒涼とした大地に群れで暮らしている。ある時に、突如として現れたモノリスに触った一匹ヒトザルは、朽ち果てた動物の骨をじっと見つめ、手にし、散乱している他の骨を砕き始める。武器を手にし、攻撃性を認知した最初の出来事であり、その進化の瞬間は、音楽も相まって強く印象的に描かれる。
生肉を食べるシーンから、骨で狩りをした痕跡を感じ取ることができ、そして、その後の他部族との闘争で、初めて牽制ではなく骨を持って暴力を行使するシーンから、その後の人類の飛躍的進化を予兆する。(この映画では、猿人類から人間への進化論を仮定としている、という前提で)
そして、宙に投げた骨が、宇宙空間に浮かぶ宇宙船に変わるという、あの有名なシーンの切り替え。ここから2部が幕を開ける。

2部の主人公は、フロイド博士。月面に現れたモノリスを調査するために、宇宙ステーションから月面基地に向かう任務を与えられる。

3部の主人公は、木星に向かうディスカバリー号の船長、デイビット・ボーマン。
2部から18ヶ月後、人間は脅威的なスピードで進化している。ディスカバリー号のシステム全てを統制する人工知能HAL9000型コンピューターと繰り広げられる闘争が、まるで人間を相手にしているかのような不気味さを感じさせる。

宇宙ステーション、宇宙食、テレビ電話、タブレット型通信機、など、未来を見据えたようなビジュアルの機械製品、そして、月面でモノリスに向かって歩いていく6人の宇宙飛行士たちのショットや、デイビットがモノリスによって人智を超えた神秘的とも脅威的ともいえる空間を彷徨うシーンなど、1968年公開のものとは思えない程素晴らしい。
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