しらす

俺たちに明日はないのしらすのレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
5.0
長年冒頭のボニーはベッドで何をしてるんだ?と、疑問だったのですが、
映画評論家の町山氏があれはマスターベーションしてたんですよ!
という話をされていて‥目から鱗。
賢者タイムでしたか。

アメリカンニューシネマの象徴のでもある今作はアメリカ映画にセックスとバイオレンスを解禁させた作品として有名。
サム・ペキンパーが嫉妬したラストシーンは今見ても凄いです。

ラストシーンばかり話題になる映画ですが、50年近くたった今でも若者映画の金字塔になるくらい‥普遍的な社会への怒りや不安が全編に満ち溢れている素晴らしい映画。
サリンジャーのライ麦とかに近い感覚。
10代のうちに観なければならない映画のひとつでしょう。

大好きな映画なので、何度観ていますが‥冒頭のマスターベーション明けのボニーがクライドと出会う度に‥
果たして2人は出会いは幸福だったのだろうか?と悩まされる。
細く長い人生か
太く短い人生か。

これは2時間の映画なので、勿論登場人物は太く短い人生を選びます。
そういった生き様を体感するのに映画というのは最も相応しいメディアとも言えますね。

無軌道に生きる若者というのは、ゴダールの「勝手にしやがれ」とかとも通じる所ですが‥今作の素晴らしいのはボニーが母親に会いにいくシーンの冷めた目線でしょう。
フィルターのかかった様な美しい色彩。
誰よりも現実を見ていた母の言葉が胸に刺さります。

「卒業」のラストシーンの真顔になる2人‥とかと同じく、若者の反逆と敗北こそがまさにアメリカン・ニューシネマたる由縁。

それにしても、フェイ・ダナウェイ演じるボニーが格好良くて美しい。
クライドてめーこのやろー
ボニーを泣かせるな、
ちゃんと抱いてやれ!
と毎回やきもきする訳です。
(史実としてクライドはバイセクシャルだったという噂もあります)
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