ヴレア

ひめゆりの塔のヴレアのレビュー・感想・評価

ひめゆりの塔(1953年製作の映画)
4.3
戦争の悲惨さ恐ろしさを克明に描いている。
洞窟をそのまま利用しただけの簡単な野戦病院で、負傷した兵士たちを懸命に看護する女学生達の奮闘ぶりにはただただ感心させられる。
限られた物資と少ない食料の状況の中、その限界ぶりも伝わって来る。
負傷兵にはおにぎり1個がやっと与えられる。それすらも食べられず、流動食を望む者も居るが支給はされない。その兵士の為に明日必ずおかゆを作りますからという女学生の優しさ。
とにかく辛い毎日を送る中で、束の間皆で水遊びをしてはしゃぐシーンはとても清々しくホッとさせられるシーンだった。
そんな女学生達も負傷し、どんどん戦火に巻き込まれて行くのは見ていて辛すぎる。
敵の姿は見えないが、爆撃と銃撃のリアルさが半端ない。
自害用の青酸カリを欲しがる女学生達のいたたまれなさ。
追い詰められついには手榴弾で自害する者も。
洞窟から逃げようとした女学生を味方の軍医が躊躇いもなく射殺する衝撃。その後手榴弾が洞窟に投げ込まれ、さらに衝撃。

ひたすら戦争の悲惨さを突き付けたまま映画は幕を下ろすが、一切の救いの無い突き放したラストは戦争の恐ろしさを克明に我々に突きつけて来る。
戦後わずか7年でこの映画が作られたというのが凄い。後世に語り継ぐべき作品。
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