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私の殺した男のmhのネタバレレビュー・内容・結末

私の殺した男(1932年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

WW1のあとに作られたエンタメヒューマンドラマ。
塹壕の中で殺してしまったドイツ兵の目が忘れられないというフランス人がそのドイツ兵の家族を訪ねる。
息子を失った両親と、息子の婚約者は失意の日々を送っており、そこにフランス人が現れる……という話。
情動失禁で倒れてしまう主人公はいくらなんでも繊細すぎんだろ、いやいやあれはシェルショック(当時話題の精神疾患。いまでいうPTSD)と読み解くべきだろとか思ってみてるといつのまにかとんでもないところまで連れていかれる。
キューブリック「突撃」のそれと並ぶような美しいラストが待っていた。
年老いて動けない代わりに息子に武器を渡す。動けないくせに憎しみだけ募らせる。
戦争の原因は、送り出した父親のせいという考え方が目からうろこだった。普通なら国のせい、政治のせいとするところだと思う。このあたりにドイツ出身でアメリカでも成功したルビッチの配慮があったのかなかったのか気になるところ。
全編を通して、憎みあうことの愚かさを描いていた。
鑑賞後のググりタイムで、ラストの曲はシューマンの「トロイメライ」と知る。意味は「夢」「夢想」というのだからとんでもない。あまりに巧緻でぞっとする。
あの美しすぎる場面は、はたして誰の夢だったんだろうね。
トーキーになったばかりの映画なのに情緒がものすごかった。
これをもとにした近年の映画「婚約者の友人」も見よう。
とんでもなく面白かった!
mh

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