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修羅雪姫のkojikojiのレビュー・感想・評価

修羅雪姫(1973年製作の映画)
3.9
血みどろの修羅雪が、腹に刺さったドスを抱えたまま、真っ白に染まった雪の鹿鳴館から、ふらふらと通りに出てくる。そこもまた一面の雪。真っ白の着物には夥しい血糊。
残された力で、刺さったドスを抜く。
と、同時に流れる主題歌。

死んでいた朝に
とむらいの雪が降る
はぐれ犬の遠吠え
下駄の音きしむ♪

梶芽衣子の、ドスが効いていながら澄み切った声がきっと心を打つ。

上村一夫の叙情の世界。
実写で描くのはこれが限界だろう。藤田監督は梶芽衣子という逸材の見事な起用で、この難題に果敢に挑んでいる。

絶頂期の梶芽衣子、どのカットも完璧に美しい。独特の色彩、艶やかな着物姿が、血飛沫とドロドロの復讐劇の中で一人際立っている。

必見。
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