「子連れ狼」は、小池一夫原作・小島剛夕画による日本の時代劇漫画(劇画)である。1970年から1976年まで『漫画アクション』に連載され、大ヒットを記録した。
小島剛夕の作風は、昔ながらの貸本漫画のタッチであり、貸本文化に馴染みの薄い世代にとっては、最初はなかなか入り込みづらい作品であった。
ところが、連載が進むにつれて、そのタッチに独特の奥深さと味わいがあることに気づき、次第に違和感もなくなっていった。そんな記憶がある。
映画『子連れ狼』は、勝プロダクションによって1972年から1974年にかけて全6作が製作された。
第1作から第4作までは、主人公・拝一刀を演じる若山富三郎の実弟・勝新太郎がプロデュースを務め、第5作・第6作は若山富三郎自身がプロデュースを手がけている。
そういった意味では、勝新太郎にとっての『座頭市』があるように、若山にとってはこの『子連れ狼』がそれにあたる作品であり、彼には相当の思い入れがあったのではないだろうか。
とりわけ第6作の製作においては、その想いが爆発しているが、その話はまた別の機会に語りたい。
物語はこうだ。
公儀介錯人・拝一刀は、裏柳生の陰謀により妻を殺され、幕府から追われる身となる。
刺客として「子連れ狼」となり、幼い息子とともに冥府魔道の旅を続けながら、裏柳生への復讐を誓うのである。
映画は、当時流行していた劇画のタッチを取り入れ、血しぶき、奇想天外な立ち回り、そしてお色気などが溢れる、エンタメ性たっぷりの時代劇となっている。
特に、若山富三郎の体格からは想像できないような運動神経と身のこなし、そして華麗な殺陣は、本作最大の見どころだろう。