異界、暗黒世界、死の世界などを、仮に、裏世界と呼ぶこととします。
この作品は、裏世界が、表世界に、ゆっくりと滲み出してきて、
最後には浸食してしまうというようなお話です。
本来パラレルな表と裏の世界をつなぐ経路として、
インターネットと赤いガムテープが使われています。
インターネットの方はあまり新味がありませんが、
赤いガムテープの方はなかなかのアイディアだと感心しました。
ドアの四辺を赤いガムテープで隙間無く塞ぐと、
その内部が裏世界と接続するというものです。
素材さえあれば簡単にできる行為でありながら、
明らかに非日常的かつ異常な行為でもあり、
全体的にトーンを落とした映像の中では、視覚的にも鮮烈です。
ホラーとしてみると、薄気味悪い映像の寄せ集めではあるのですが、
(どのシーンもなかなか背筋に来るものがあります)
それぞれの現象の源となる、より大きなものの存在を感じさせつつ、
その正体がつかめないことによる恐怖を誘います。
対抗するすべを持たない絶望的恐怖とでも言いましょうか。
ですから、散発的に薄気味悪い現象が起きている前半までが良く、
小雪がこっちに向かって歩いてくるところがクライマックスです。
後半の変貌世界は、結構セットに金がかかってそうですが
非日常過ぎて、恐怖はほとんど感じませんでしたね。
役所ではさんだ効果は疑問でした。