ヘソの曲り角

幌馬車のヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

幌馬車(1923年製作の映画)
4.0
ジョン・フォード「アイアンホース」を見たのだが、DVDに付いてた淀長さんの解説でかなりの尺を割いて「前年に幌馬車っていうすごい映画があってそれを受けて撮られたんですよ〜」と説明していたので無性に見たくなった。後日最寄りの◯ィスクユニオンを徘徊していたら、なんとその「幌馬車」(1923)があったので即買い。そして今に至る。

前半やたら画面右半分にダイナミックな動きが偏ってる映像や時代性を考慮しても粗く思える編集になかなかノレなかったが、30分過ぎたあたりの川渡りのシーンから劇的に面白くなった。その後もバイソン狩り、インディアンとの戦闘、雪景色など見どころが盛りだくさんで超楽しかった。とにかく奥行き方向の運動が印象的で、なおかつ高低差もつけていて、ショットの良さも意外と侮れない。最初はバランスの取れてないふにゃっとしたショットだと思ったが見ていくうちになんとなく良さが分かってくるから面白い。ジェームズ・クルーズ(または撮影監督)、なかなかクセになる画を撮る。テーマソングを観客に歌わせるという画期的なエンタメ要素も逆にサイレントだからこそできる技。さすが「アイアンホース」と並び称されるだけある。

主人公の相棒と途中参加の旧友の呑んだくれのキャラがめちゃくちゃいい。正直彼らの魅力で作品が成り立ってると言っても過言ではない。ラストのエピソードにもちゃんと絡んでくる相棒。主人公の清潔さを補って余りある人間臭さ、ことあるごとに主人公の恋敵を殺そうとするの面白すぎ。

ps wiki見たら編集ドロシー・アーズナーだったんだけどマジ? ちゃんとクレジット見ときゃよかった。あと、インディアンが草木でカモフラージュしながら近づいてくるシーンがマクベスっぽい。