ヘソの曲り角

5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生のヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

3.8
マルク・ローテムントは11月「ぼくとパパ、約束の週末」を観てけっこういい作家なのではと思っていたがやはりそうだった。すごくキャッチーな作りかつ福祉をがっつりテーマにしていてまさに娯楽映画のあるべき姿だと思う。視覚障がい者を主人公にして労働、学校、プライベートのあらゆる面から不均衡・障壁を描きつつもうひとつのアイデンティティであるスリランカ系にまつわる描写の入れ方もうまい。さらに職場で知り合ったアフガン人難民やシングルマザーのヒロインなどの描写も盛り込み広い視野で物語を展開していく。

てっきり視覚障がいであることを隠して自分の努力でなんとかする話だと思ってたが実際は途中で色んな人にバレてしまうのだがみんな意外といいヤツばっかで助け合っていくという実に現実的な共存の話になっていて、その「強さ」に固執しない作りが今必要とされる価値観のように思える。一応ボスキャラの鬼教官も最終盤であっさり軟化するのだが出てくる人がことごとくいいヤツなので予想がつくので気にならない。映画というメディアの特質上視覚障がい者の主観ショットというきわめて嘘っぱちの映像が挟まれるのは仕方のないところか。まあ個人的にはCODAの主観の使い方とかけっこう好きだけどね。