しろくま兄サキス

A.I.のしろくま兄サキスのレビュー・感想・評価

A.I.(2001年製作の映画)
4.0
【人工知能は電脳ママの夢を見るか?】
これは『2001年宇宙の旅』の続編ではあるまいか?或いはHALが勝った場合のリメイク。 「2001年~」は、出自の異なる二つの知性体の闘争と進化の物語。方や人類代表デイヴィッド・ボウマン、此方人工知性代表HAL9000。辛くも勝利した人類は進化の次なる階段を登ることに成功。その説明を一切省き、映像と音楽の力のみで押し切ったのがキューブリック。さて熱狂的なキューブリック信者スピルバーグは?
この映画でも人類vs人工知性の構図。全体の構成がそっくりそのまま「2001年~」のそれを踏襲しているのはもとより、立場は逆転しているものの、主人公の名前がどちらもデイヴィッドというのは偶然か。果たして人類は滅び、生き残ったのはAIデイヴィッドの方。最後にママとのすばらしい一日を過ごし、”夢”を見る事ができたのは、スピルバーグ流”知性の進化”の表現だったのかも。結局のところ、キューブリックにとっては、人類だろうがAIだろうが、進化するのはどちらでもよかったんじゃね?的な。同じ知性、そこになんの違いがあるのかと。  
イマイチテンポの悪い脚本、せっかくのCG技術を持ちながら、それに頼り切れなかった思い切りの悪さに☆一個マイナス。でも、あんまり話題に上らず、凡百の映画達に埋もれるには惜しい作品。