ゆみモン

武蔵野夫人のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

武蔵野夫人(1951年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

原作:大岡昇平
監督:溝口健二
主演:田中絹代
…でも、こういう映画が出来上がるのだなぁ~と不思議な感じがした。
戦後まもなくの元上流階級?の人たちの、進歩的・発展的な不倫ドラマ…と言ってしまえば元も子もないが。

空襲で焼け出されて、秋山道子(田中絹代)・忠雄(森雅之)夫婦が、武蔵野にある道子の実家に逃げてくる。
実家の両親は二人を迎え入れてくれる。が、日本の敗勢は止めようもなく、自決用の青酸カリが配られたりした。
隣の戦争成金で羽振りのいい大野英治、富子(轟夕起子)夫婦も歓迎してくれる。
そのうちに、道子の両親は相次いで亡くなる。
宮地の父は土地財産を道子に相続させていた。忠雄を卑しい人間として信用していなかったのだ。
戦後になって、従兄弟の宮地勉(片山明彦)が復員してくる。
だが、忠雄と勉は仲が悪く、勉は五反田に引っ越して、堕落した生活をするようになった。
それを見かねた道子は、勉を実家に呼び寄せた。
一方、忠雄は、隣の富子夫人に横恋慕するようになった。だが、経験豊富な富子夫人に手玉に取られてしまっていた。
道子と勉は、惹かれ合うようになる。若い勉は、想いをぶつけようとするが、年上で人妻の道子は、「道徳や誓い」やらを説き勉を受け入れない。台風が来て二人で旅館に泊まったりした時も間違いは犯さなかったが、勉は五反田に戻った。
忠雄と富子夫人は、宮地家の土地の権利書を奪って駆落ちする。だが、土地権利書を不動産屋に持って行っても、そのままでは換金できず意味がなかったことに気付く。すると富子夫人はあっさりと忠雄を捨てて、勉のいる五反田へ。
道子は、英治に「財産を守るためには、道子が遺書を書いて死ぬしかない」と言われたことを真に受けて自殺してしまった。

道子が生死の淵を彷徨っているとき、忠雄は「道子が助かったら今度こそやり直す」などとしらっと言うし、勉は頼りない。
結局、道子だけ命を捨てて、あとはみないと元通り?と思うと救いようのない話だ。