haru

ソフィーの選択のharuのレビュー・感想・評価

ソフィーの選択(1982年製作の映画)
4.0
ホロコーストをテーマにした、3人の切ない関係。

田舎からニューヨークに進出した小説家志望のスティンゴは、同じアパートに住むキャラ濃い目のカップル、ネイサンとソフィーと仲良くなる。しかし一見お花畑脳に見えるネイサンとソフィーには壮絶な過去がありまして。

戦後間もないニューヨークが舞台。前半はネイサンとソフィーの痴話喧嘩やイチャイチャに巻き込まれるスティンゴが憐れで見てて全然おもしろくないんですけど、後半二人の過去が明らかになるにつれ、名作臭がプンプンしてきます。
ネイサンの秘密やソフィーの過去、二人は互いにそれを隠していて、すべてを知っているのは実はスティンゴだけ。話がスティンゴ目線で進んでいくので、すべてを知った上でのオチが切ない。初めて鑑賞したのは10年前でまだ若かったものですから、この結末に納得できなかったのですが、今見るとハッピーエンドに感じられる。二人はそれぞれ過去から逃れられず、誰にも言えずに苦しんでいたけど、それでも互いの存在に癒されていた。言葉ではない二人の関係に泣けるし、スティンゴの位置づけも良かった。
タイトルにもなっている「ソフィーの選択」は、劇中2度出てきますが、どちらも正しいのか間違っているのかではなく、そうなるべくしてそうなったと思います。選べない、でもどちらかを選ばなければならない。まさに究極の選択です。ナチは人間の精神も破壊し、あのときは助かった生存者も死ぬまで苦しめられた。助かって良かったと一概には言えない。
ソフィーの2度めの選択で、彼女は本当の意味で救われたと思います。
haru

haru