エリオット

殺られるのエリオットのレビュー・感想・評価

殺られる(1959年製作の映画)
4.1
舞台はマルセイユ。労働者のピエール(ロベール・オッセン)は恋人のベアトリスが謎の外出をしたのを不審に思って後をつけたところ、彼女が入った別荘ではパーティーが開かれていた。しかし、それは若い女性を人身密売しようとする犯罪組織の罠であり、ピエールがベアトリスを助け出そうとするが…という話。

音楽が、私が「モーニン」でジャズを聴き始めるきっかけになったアート・ブレーキ―&ジャズメッセンジャーズ!同じ年(1959)に製作された「危険な関係」(ロジェ・バディム監督作品)でも音楽を担当してそのテーマ曲はスタンダードナンバーになっているが、こちらの音楽はそちらより渋め(youtubeで検索すれば聴ける)。
このころフランス映画は「大運河」(1957)でMJQ、「死刑台のエレベーター」(1957)でマイルス・デイビスなどクールなモダンジャズを使った作品が次々と作られ、それらは「シネ・ジャズ」とまで呼ばれたらしい。

登場人物では、イケメンな主人公より、一匹狼的な殺し屋役のフィリップ・クレイ(上杉祥三に似て顔が長く眼光が鋭い)がクールななかにもユーモアもあって印象に残った。主人公の恋人ベアトリス役のエステラ・ブランは滅法美しく、ギャングの情夫役のマガリ・ノエルという女優もソフィアローレン系の美女で魅力的だった。

いわゆるフレンチノワールのなかでも、夜の路地や車、タバコが頻繁に出てきてモノクロのメリハリが効いているノワールらしい作品で、かなり楽しめた。
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