こたつむり

シベリア超特急のこたつむりのレビュー・感想・評価

シベリア超特急(1996年製作の映画)
2.0
映画好きならば一度は聞いたことがあるであろう邦画界○○○三大タイトルのうちの一本。あ。“三大”の前には罵詈雑言系の文字を任意で入れてください。

いやぁ。評判どおりの作品でした。
稚拙な演技。思わず失笑してしまう演出。そして、中学生が書いたような脚本。「戦争は良くない」とか「主人公である山下奉文大将は素晴らしい人だ」という想いは十二分に伝わってくるのですけどね。主張先行で物語を紡いでいるので、色々と破綻しているのです。

だから、確かにヒドイ映画。
…なのですが、何故だか惹き付けられるのも事実。ミステリ好きとしては許容できないトリックも。緊迫感皆無のアクションも。変化球どころか暴投と言える終盤の展開も。どれもこれもヒドイものばかりなのですが、上から目線で批判なんてできないのです。

これはね。理屈じゃないのですね。
そう、心で感じるものなのです。それは熱意、愛、水野晴郎さんの映画に対する想いなのです。長期間に亘って映画を紹介し「いやぁ、映画って本当にいいものですね」と言い続けた真実が此処に在るのです。だから、『デビルマン※1』と同列に語ってはいけなかったのです。

確かにお金と時間をキッチリと掛けた映画と。
真正面から比べるのは失礼です。映画製作に投資するという行為は賞賛されど非難される筋合いのものではないですし、ある一定の基準から映画を評価するならば、低い点数になるのも仕方が無いことでしょう。「どれだけ熱意があっても、それが品質に結びつかない顕著な例である」と言われたならば、ぐうの音も出ません。

しかし…しかし、しかしッ!
本当に大切なものはお金じゃあ買えないのです。理屈じゃあないのです。これこそが人間としての醍醐味なのです。だから、確かにヒドイ作品かもしれませんが、本当に映画のことが好きならば、たかだか90分、時給1000円で換算したら1500円分の時間を費やしても損はしないと思います。

まあ、そんなわけで。
映画愛への踏み絵…というのは、いささか誇張気味の表現ですけれども「考える前に感じることが出来るのか?」を試してみるのも一興ですよ。それと、出てくる女優さんはお美しい人たちばかりなので目の保養になります。特にかたせ梨乃さんの脚線美は必見です。

※1 デビルマン…邦画界○○○三大タイトルのうちの一本。残りの一本は『北京原人』だとか。
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