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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのりのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

U-NEXTで見た後、リバイバル上映見た!
大好きすぎてリバイバル2回見た。ポスターもカッケェ。飾るためのフレームを探してるんだけどどんなのが良いかな?

まず導入が良かった。
2人が余命幾許っていう大前提の説明と海に行くっていう映画の目的が開始15分以内に説明されている。
普通病気で死にそうって展開ならもっと時間取っても良いって思うけど、目的が海に行くなのでこの時間、このテンポで良いんだ。って新鮮に驚いた。
必要なシーンだけで構成する思い切りの良さが名作のポイントなのかもしれない。
不要な情報、必要な情報を仕分けしてる脚本すごい。
テンポが良いからさくさく進む。
素晴らしい構成。

あと台詞がおしゃれ。
天国では海の話をするのが流行ってるんだぜ、こんなカッケェ台詞あるかよ。
マーチンの語り口でルディと同じ気持ちで海に惹きつけられて盛り上がるのに、でもお前は除け者だって言われてルディと一緒に寂しくなるあの一連のシーン。
全部捨てて海に行きたくなるよね。
分かるよ、私もこの映画見た後友達誘って海行ったよ。
あんなに寂しくって雄大な海は初めてだった。

そんな素晴らしい導入だけど本編はもっと面白い。
ご都合主義と言われたらそれまでだけど、2人の希望が叶うように全ての歯車がうまく噛み合って進むストーリーが爽快。
そうなってほしいって思う魅力的な2人だったから、2人の希望が叶い続ける展開は見てて楽しかった。
ドジを踏み続けるマフィアの2人も憎めないキャラだから、2人の道中をより楽しく応援できるんだよね。
海に向かいつつ、死ぬ前に叶えたい希望も叶えつつ、さらにお金配りの旅もする。
お世話になった人達と一緒に幸せになる展開も、見てて本当に楽しい。
そのお金の所有者であるボスが全ての出来事を帳消しにして海に行くよう促すシーンを入れたことで、今までのことはひとまず置いて海に集中できる構成も素晴らしい。
とことん目的のはっきりした、脚本の素晴らしさが際立つ映画だなって思った。

最後の荒れた海も良かった。
圧倒的な自然を前に立ち尽くす、もうすぐ死ぬ2人。
この対比があったから、多分私はマーチンの最期を受け入れることができた。 
綺麗な海だったら、ダメだった。
雨でも晴れでもない、曇りなんだ。
だって、2人の気持ちもきっと曇りだったはずだ。
海を見るという希望を叶えた。
これだけ見たら晴れかもしれない。
でもそうじゃないんだ。
死の恐怖を感じてるから。
でも1人じゃない。
死に寄り添う友達がいる。
だから雨じゃない。
曇りなんだ。
このラストシーンは、曇りの荒れた怖い海じゃないといけない。

天国ではみんな海の話をするんだ。
り