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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのコマミーのレビュー・感想・評価

3.7
【天国では皆、海の話をする】




"Filmarks"さんの"90年代映画"の特集上映「Filmarks90's」にて上映された90年代の名作を巡る旅…1年明けて鑑賞する作品は、"ドイツ"で公開時大ヒットを遂げた、"名作ロードムービー"を鑑賞




思えば、90年代にかけての作品は結構良質なロードムービーに溢れていたように感じる。そして、"男たちのバディームービー"も名作が多いような気がするのだ。
そんな良いとこどりを作品の中に一気に詰めた名作が、1997年のドイツにて誕生した。

それがこの「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」である。

"トーマス・ヤーン"と俳優の"ティル・シュヴァイガー"が共同で脚本を執筆をして誕生した本作は、本国ドイツで記録的な大ヒットを果たし、ティル・シュヴァイガーがモスクワ映画祭で最優秀男優賞を受賞し、まさに彼の出世作となった作品だ。
「死」をテーマにしながらも、あえて暗い作りにせずに、バディコメディのようなノリとロードムービーとしての要素を兼ね備えて、非常に見やすく"印象的な主人公2人"を作り上げた作品なのだ。日本での公開は1999年と割と遅めの公開となったが、ここ日本でも大ヒットを果たし、長瀬智也主演でリメイクもされた。

私はこの作品をDVDで借りて何度も見たが、劇場で見れてとても光栄だった。叶うかどうか分からないが、2人のように"自分の最期は自分らしく"飾りたいなと感じたし、2人の結束力にもとても憧れた。激痛と呼吸困難で疼くまる"マーチン"を、"ルディ"が必死に助けようとする姿がキュンとくるし、敵キャラに当たる間抜けな"ギャング"やちょっと存在は怪しいけどやはり間抜けな"警官"たちもどこか憎めないし、何より"ルドガー・ハウアー"演じるギャングのボスの"カーチス"の神様のような優しさはほっこりさせられる。

犯罪シーンや爆破のシーンなど、比較的凄いシーンは沢山出てくるのだが、人が死ぬシーンが"限りなく少ない"のも見やすくて逆に良いのだ。完全に今で言う"推し活目的映画"なのである。これは今もファンが多いのも納得がいく。

そんな往年の推し活映画を、劇場で拝めるなんて素晴らしい事である。
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