教授

ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発の教授のレビュー・感想・評価

-
そこまで気持ちが乗って褒めそやす気はないのだが、それでも丁寧に作られた素晴らしい特撮怪獣映画。

松竹唯一の怪獣映画である「宇宙大怪獣ギララ」とはシリーズという整合性はないのだが、まさかの同じデザインの同じ怪獣を使って、超低予算ではあるが、なかなかあり得ない形で作り上げられていることに驚く。

まず。特撮怪獣映画としてのミニチュアセットを使った特撮シーンの完成度の高さ。
立派過ぎるほど怪獣映画としてのルックを実現させていて手放しで素晴らしいと思う。
一方で、メインストーリーに関しては撮り方としては非常に「自主映画」っぽい緩めの立ち話の画ヅラが多く、そのギャップもコメディとしては面白くはなっている。

低予算映画的な目も当てられないくだらないギャグや、演技的なクオリティのいい加減さは目立つが、きちんとそこに布石を打つようなみうらじゅんの登場など、辻褄の合わない展開に対して、一応の回収を行う辺りは演出として丁寧さを感じる。

またポリティカルな要素も本質的な部分にだけピンポイントで入れ込み、シニカルな批評眼も覗かせつつ、ギャグで昇華するというような「わかっている」感じのバランスは巧み。

河崎実監督は、ウルトラマンマニアで、ビートたけしの大ファンである、ということなので、監督自身が「好きなもの」のディティールを手を抜かずやり切っていることには素直に感動した。
面白かったけれど、心に残り続ける映画だったかは微妙。
それでも観て良かった。
教授

教授