kirito

早春のkiritoのレビュー・感想・評価

早春(1970年製作の映画)
3.8
【鮮血】

冒頭の赤の描写から最終番の「赤」に至るまで計算されつくした描写を感じる。
傑作と名高いスコリモフスキの「早春」、TSUTAYAの発掘良品で観た。

童貞の15歳の少年が、年上の女性、否「女」という性に惹かれ、そしてとりつかれていく。

画面の端々に感じるエロス。
男としては最も性欲が強いと一般的に言われている思春期において、少年は「それ」を手に入れるために全力を尽くす。
性欲はある種「種の保存」であり本能の意味合いが強いが、絶頂を迎えるまでのその間は文字どおりすべてをかけてもいいくらい、人の理性を失わせる。
その性質が見事なまでに劇中で表現されており、唸った。

なんといっても「プールの水の中」の裸体の描写が生々しくエロスでしかない。

少年を狙うふくよかな女性や、処女を狙う指導者など、この映画には清々しいくらいの欲望に渦巻く登場人物ばかりで、ある意味人間らしさすら感じる。

しかし少年・・・君は働く場所を間違えた。
ファーストフード店で働いていればこんなことには・・・

2020.1.21
kirito

kirito