<概説>
三人の宇宙飛行士が地球から320光年の距離にある惑星に不時着した。そこは人類の新天地となりえる未知の土地。しかし猿人が人間を支配する脅威の土地でもあったのだ。
<感想>
'60年代の特殊メイクのポテンシャルに驚愕する一方で、その作品構造にもまた驚かされます。何度もリメイクされている作品ですが、このオリジナル作品でも十分現代に通用するものです。
なにより作中の矛盾した文明が逆にいい。
よくよく考察すると整合性に穴もあるのです。しかしここを無理に辻褄合わせないおかげで科学至上主義批判のみならず、レイシズムやガリレオ裁判などのあらゆる問題を内包した作品に。
猿と人間の立場を逆転させたように見えて、しかし実際には完全に逆転はしてないのもいいですね。知性主義的な動物愛護に対する理解がなんとも皮肉な形式で進みます。
そんなこと言ってもクジラを食べるのはやめませんが。
物語自体も非常におもしろいので古典名作という堅苦しさを感じません。寡聞にして結末を知らなかったものですから、あのラストは膝を叩きました。