ぉゅ

男はつらいよ 寅次郎真実一路のぉゅのレビュー・感想・評価

4.0
2020年 鑑賞
BSテレ東にて、テレビ初放送の4Kでらっくす(4Kデジタル修復版)での一挙放送にて。35/50作目。

ー 寅次郎、真実の路(みち) ー
今回の夢始まり。タコ総理と、寅さん博士。怪獣退治を寅さん博士に託す... ゴ●●と芹●博士?

親子喧嘩中のタコ社長と娘のあけみ。柴又に帰ってきた寅さん。たまたま巻き込まれ、そこから社長といつもの大喧嘩...

焼き鳥屋で、たまたま出会った大手証券会社課長の富永健吉(米倉斉加年さん)。縁から寅さんの支払いもしてくれ、更に勤務先へ御礼をしに... そしてまた飲みに... 富永の郷里・枕崎の話や、自分も寅さんと同じ “旅人” だと... 泥酔し、同じ話の無限ループに...

翌朝、目覚めた寅さん。そこで出会った富永の妻で主婦。今回のマドンナ・ふじ子(大原麗子さん)。別の役だが、二度目の登場の、22作目のマドンナで心掴まれた大原さん!
夫は仕事ばかり、ふじ子とは会う時間もない。かつ、見ず知らずの寅さんへの手厚いもてなし。人妻でありながら、寅さんはふじ子に一目惚れをしてしまう...

富永は出勤途中で失踪... 過労で現実逃避か?どうしようもなくなったふじ子は、寅さんを頼り...
寅さんはふじ子と息子を迎えての食卓での団らん。にぎやかな団らんっていいよね!満男らの合唱も良かった!

寅さんの捜索の旅先ー鹿児島・枕崎。やはりシニアたらしの寅さん。富永の父・進介(辰巳柳太郎さん)にも気に入られ... 富永のいた痕跡はみつけられたものの、富永をみつけられない寅さんとふじ子...
「気休めなんて言わないで」「今日、寅さんと一緒にあちこち歩いたでしょ。それだけでもここに来てよかったと思ってるの」
寅さんのモヤモヤ... 寝込んでしまうが...

作品の流れ自体はもの凄く変化球。寅さん一人での旅も最後までなく、人妻に惚れるという変化球の塊。ラストの当時の前年に廃線となった南薩線伊作駅のシーンも深く考えさせらると共に、山田監督の鉄道愛も感じた。あと渥美さんの追悼作品がこの作品だったらしく、それはこのラストシーンが大きく関わっている?

今回は夫婦の絆も大きく関わっていた。夫婦は互いに会っていなくとも、喧嘩ばかりでも、やっぱりあるんだと再確認。私の両親もそう感じたし... 結婚っていいものなのかしら?とも思ったが...
寅さんはふじ子に骨抜き。その決め手って、菊の面がない100円硬貨みたいだ!どちらも “おもて(表)なし” 。お後がよろしいようで...

“わたしの寅さん、ぼくの寅さん”に寄稿されたリリー・フランキーさん(俳優/イラストレイター/小説家)。寅さんは日本でいちばん格好いいアウトサイダーですね。アウトサイダーなんだけど、すごく気にしいで、ときには見当ちがいの気遣いをする人。そんな、家族や友人を想う人柄から、男の哀愁を感じるのかもしれません。と、おっしゃっていた。今の家族事情や近所との付き合い、人と人との触れ合い等、無くなってしまったひとつの形が、この作品には詰まっているのだと思う。気薄になってしまった人間関係こそが、寅さんなのかな?とも思う。それがアウトサイダーだろうが、反社だろうが、ヤクザな兄貴だろうが、関係ない!私たちは寅さんのカッコ良さ、優しさ、笑顔、爆発力、哀愁を知ってさえいれば。

1253(20-390)
ぉゅ

ぉゅ