Jun

JSAのJunのネタバレレビュー・内容・結末

JSA(2000年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

南北問題を主題に据えたポリティカル・サスペンスの佳作。

親交を結んだ四人が仲良く遊ぶ姿は微笑ましく、翻って悲劇としか言いようのない結末には胸が痛む。同じ民族同士が争わなくてはならない史実は、あまりに残酷だ。
原作小説と比して映画は大きな脚色が見て取れるが、主人公である中立国の監督委(映画では男性から女性に置き換えられている)の心の内に深く迫った文章を思えば、複数のキャラクターを俯瞰して捉え、38度線を挟んだ友情に焦点を当てた映画はより媒体に適した描き方だったと考えられる。『戦火の勇気』(1996年)を彷彿させる「羅生門」的アプローチ(一人ひとりの不適切な陳述を正確に映像に起こしていく構成)もまた、混迷化していく事件調査への興味を惹き付けて止まない巧みな仕上がりだ。観光客が何気なく撮った一枚の写真が、現実の切なさを克明に物語っている。
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