ろく

札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥のろくのレビュー・感想・評価

3.8
この手の教育映画(エロだけではありませんよ、社会のことも考えてます)にありがちなダルさもあるけど芹明香のパートがとってもよくて好き。

主人公はトルコ嬢の芹とそのヒモ、東龍明。この二人がトルコを転々とするパートを物語の主軸にして当時のトルコの事情をドキュメンタリータッチで語る。ドキュメンタリー部分では実際のトルコ嬢へのインタビューや当時の状況に対しての識者の反応(中ピ連や黒鉄ヒロシまで)まで語るんだ。ナレーションは「出た!」山城新伍。しかし今回は一切のおふざけなし。そこはさびしい。

でこの手のエロ映画によくあるようにエロシーンはそこそこねっとり見せる。ただすまん、それは欲してないの。関本のカメラワークもだるいだけなんだ。

ただ芹と東のロードムービーとしてみるとこれはたのしい。強依存の関係なんで今の感覚だと噴飯ものではあるが、当時はこれがスタンダードだったんだと思う。時代とともに倫理は変わるんだ。それを今のルールで断罪してはいけない(ただのパラダイムの転換なのに)。

まあ愚痴を言ったけどとにかくそのロードムービーが好きさって話。特に芹が実家の青森に帰るシーンは鳥肌もの。彼女が着ている赤のコートが青森の雪景色や海の風景と相まってまあ映えるんだよ。シルエットも今の服にはない恰好よさで、これは今の俳優さんではなかなか撮れない(気がする)。そこにあるのは清濁を併せのんだ芹がいるんだ(菩薩だ!ここにも菩薩がいる!そういえば神代の「開け!チューリップ」では芹は実際菩薩になっていたじゃないか)。

最後は電車の中でトイレに我慢できず、連結機のところでパンツを脱ぎ豪快に外に向かって放尿する芹。放尿といえば神代映画だけど、なかなかどうして関本も見せてくれる。この爽快感は只者ではない。

全体としてはいろいろだるい映画なれど、芹を見て当時の風俗を見て、そして女性のとびぬけた明るさを見て楽しむ映画だと思う。
ろく

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