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ファニーとアレクサンデルのHirommyのレビュー・感想・評価

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)
5.0
宗教や哲学要素を土台に、でも普遍的さを醸し出しながら人間の内面や人の営みを描く5時間超えの超大作。緩急のある映像が綺麗で心奪われる。現実と異界の線上を漂うような摩訶不思議な美しさ(赤)、対象的に北欧的侘び寂びとでもいうようなシンプルな美しさ(白)。感受性豊かで怖がりで、なのに大人の欺瞞には抗議する強さを持つアレクサンドル少年のいじらしさよ。下手すると身も蓋もなく散慢な印象になりそうな内容が、巨匠ベルイマン監督の手にかかるとこうなるのか…。大傑作。文句なしの満点。

以下あらすじ含む備忘録✐
【第1部】ブルジョワ資産家のクリスマスパーティー。印象的な豪華絢爛な紅の装飾品。鬱陶しくもあり微かな愉しみもある一族郎党の集まり。大人の裏表を澄んだ瞳でじっと見つめるファニーとアレクサンドル兄妹。
【第2部】父親の死。母親の再婚。北のキリスト教はどこか冷淡で厳しく威圧的。子供の心はずっと置き去り。
【第3部】宗教の「真実と正義」下での脅迫・拷問。ここまで来ると宗教って誰得?幽霊の告白で事故の真相はどっちがホント?有害な父権主義って形や手法は変われどどこの国にもあるんだな…。刑務所のような寒々しい部屋。白夜の明るさに救われる。
【第4部】ラストに向けてまた画面に赤が戻ってくる。熱く物語が展開。エミリーと子どもたちは一族の温かさに助けられ映画では一応のハッピーエンド。安堵。でもまだまだ人生は続くし、これからも色々あるのだろう。。。それが人生。悩むより楽しめ!(冒頭に出てきた言葉)

・ほんとの神様なら僕なんか怒らない。怒るのはウソの神様。
・被る仮面が多いので自分が誰がわからない。

4
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