あけましておめでとうございます。本年もお付き合い頂けると幸いです。
新年1発目の映画は相当悩んだが、時間がある時ではないと観られない本作をチョイス。80年代は民放の深夜枠で沢山の映画を字幕放送していて、本作はその時に初鑑賞。オリーブ少女に憧れるように、ミニシアターに憧れたあの頃。そんな憧れを除いて、買ってあったDVD(だって全然配信こないから)にてしっかりと再見することとした。
以下ネタバレ感想
プロローグ
子供にしか見えない世界を短い描写で表す秀逸さ。少年アレキサンドルに一発で惹かれる。
第1部 エクダール家のクリスマス
お盆に祖母の元へ集う「サマーウォーズ」の如く、クリスマスイブに祖母の仕切りで集まる長男、次男、三男一家。各々のキャラがしっかり描かれており、群像劇のスタートとして観客の興味をしっかりと鷲掴みする。
第2部 亡霊
一番幸せそうに見えた長男一家を襲う突然の悲劇。スウェーデン式の葬儀が見られることは興味深かった。父オスカルの亡霊が現れた所での区切りも長い本作に引きつける事に一役買っており、ここからプロローグが生き始めるかと。
第3部 崩壊
母エミリーが劇団を抜けることを告白、椅子の種類のバラバラさが気持ちもバラバラなことを表している。弱った心につけ込む主教は彼らを色が消えた世界に閉じ込める事に成功。オスカルの亡霊はこちらにも登場出来るのだろうか。。。
第4部 夏の出来事
エミリーが主教の本質を見抜くも、時はすでに遅し。ここでもひたすらに祖母の別荘を白く描き、エミリー達のグレーの監獄を際立たせる。アレキサンドルの精一杯の嘘も、所詮10歳では主教に立ち向かえないところが現実的であり観ていて辛かった。
第5部 悪魔たち
とうとうエクダール家がエミリー達救出に乗り出し、第1部で描いた次男三男の描写が生きてくる。結果、大活躍したのはイサクなのだが、子供達を奪い去る時の念と光、彼は妖術使いなのか!?
エピローグ
エミリーが赤いドレスを着ているだけで嬉しくなるのは私だけではあるまい。三男のスピーチの長さも一族の幸せを思えば調子づかせておこう。しかし霊となってアレキサンドルに取り憑く主教の執念よ。。。
北欧の文化と美しい映像がとにかく眼福。BGMが殆どないので、余計に目で見たものがストレートに入ってくる。パーティー料理の数々は興味深く、アレキサンドルとファニーが一時期待避したイサクの家の、人形と装飾品も面白いものばかりだった。迷路に迷い込んだかの描写の中で微妙に動く人形も良き。
主教の亡霊が残った事で、捉えようによっては後味が悪いかと思う。でも亡霊の父が「何もしてあげられない」と言ったように、アレキサンドルは霊が見えたとしても自分の運命は自分で切り開けとのメッセージにも取れた。次男の神経質さが心配ではあるが、エクダール一族に幸あれ!