マヒロ

叫のマヒロのレビュー・感想・評価

(2006年製作の映画)
4.0
Jホラーの怖さの肝は、襲ってくる幽霊が全くもって関係の無い人にまで危害を加えてくるうえに、対策方法がものすごく難しかったりするというまるで未知の疫病のような恐ろしさにあると思うんだけど、この映画は「私は死んだ、だからみんなも死んでください」というそんなムチャなというようなキャッチフレーズが表す通り、その側面を思い切り大げさに描いたような作品。

今作での幽霊=赤い服の女はかなり特異な存在で、いきなり部屋の中に現れたと思ったら帰るときは普通にドアを開けてテクテク帰ったり、かと思ったら突然空に向かってぶっ飛んでいったりと、世間一般でいう幽霊のイメージとはかなり剥離している。劇中ではその人が知る"真実"が幻覚のような形でもって現れているのでは…という推測がなされているけど、単なる幻覚と片付けるには妙に実在感がありすぎるというか、ともすれば映画の中からはみ出て現実との狭間にいるかのような気味の悪さがある。

理不尽さでいうと、作品のテーマとしておそらく「"忘れる"という罪と"許される"という罰」みたいなものがあって、そのアンビバレンツな感じもまた居心地の悪さを感じさせられて良かった。

(2016.109)
マヒロ

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