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この空の花 長岡花火物語のyoko45のレビュー・感想・評価

この空の花 長岡花火物語(2012年製作の映画)
4.5
 2004年の中越地震を乗り越え、2011年の東日本大震災では積極的に被災者を受け入れた新潟県長岡市を地方新聞記者(松雪泰子)が訪れます。取材をするなかで、かつて模擬原子爆弾が落とされ、空襲で多くの人が亡くなったことを知るとともに、「まだ戦争には間に合う」という題名の舞台脚本を書いた一輪車に乗る女子学生(猪俣南)、地元記者(原田夏希)、花火師(柄本明)らと出会うことで、長岡の記憶と受け継がれる人々の願いを感じるように・・

 長岡の記憶と深く関係する、一輪車を華麗に操る女子学生の登場には意表をつかれました。ふつう考えつかないです。字幕、合成画、時間も過去と現在を行き来して監督らしいし、作品全体に流れる曲も涙を誘うし、なぜか吸い込まれるような不思議な感覚を覚えます。
 
 長岡空襲は、昭和20年8月1日。その2年後、慰霊と祈りの想いを込めて夜空に花火を打ち上げ長岡花火が復活したそうです。ゆっくり開いてゆっくりと消えてゆく、優しくて柔らかく眼の奥に画が残るような花火です(監督は「しんなり」という表現をされています)。
 「みんなが爆弾なんかつくらないできれいな花火ばかりをつくっていたらきっと戦争なんか起きなかったんだな」冒頭にでてくる山下清の言葉です。

(メモ)
米百俵の精神
山本五十六は長岡出身
レンタル特典(対談)80分:この作品と長岡花火が海を越えて、ホノルル(真珠湾)で上映、打ち上げられたという話に驚き
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