yoko45

おやすみなさいを言いたくてのyoko45のレビュー・感想・評価

4.5
 母は家族におやすみを言えない、それでも憤りと情熱は真実を見つめ世界に伝えなければならない光景を追い続ける。
 母の帰りを待つ家族、不安と寂しさを繰り返し疲れはて怒りをぶつけても母の情熱の正体にはなかなか迫れない。
 その人の情熱はその人のもの、突き動かされる感情の終わりを決める時もその人のもの。これを家族のなかで尊重しあうのは至難の技。
 娘は母が涙するまでカメラのシャッターを押し続け、最後に母の情熱と活動が自身の知らない世界の多くの人々に必要とされていると語る、或いはそう思わざるを得なかったのかもしれません。親と子から大人同士へ変わってゆく場面に涙腺が緩みます。
 そして世界、今まさに想像したくないことが至るところで起きているに違いない。みな平和を望んでいるはずなのに。主人公と同じように力なく地に膝をつくような気持ちにもなります。
 ネコは9回生きる、あきらめてはいけない、おやすみなさいは何回でも言わなければなりません。

(メモ)
 生と死、戦争と平和、仕事と家族、それらの狭間を漂うような幻想的な画への転換が印象的。
 紛争地とアイルランドの海辺の光景があまりに対照的。
yoko45

yoko45