ムー

永遠の人のムーのレビュー・感想・評価

永遠の人(1961年製作の映画)
3.8
想い人との間を裂かれたさだ子の、30年に及ぶ怨み節
一組の夫婦の愛憎劇は、息子娘をはじめ、元恋人の妻やその子どもまで巻き込んでドロドロと渦を成していく

30年という時間の流れを、演技とメイクのみで見せる様が圧巻
特に高峰秀子の演技力が素晴らしかった
義父の亡骸を見下ろす目線の凄みたるや、数十分前までの10代の生娘と同一人物が演じてるとは到底思えないほどだった

やっぱり昔の邦画は、人間関係の妙とその数奇な運命による遣る瀬無さを描き出すのが本当にうまい
西洋のそれとはまた違うリアルさで、時代は変われども、やり切れないもんはやり切れないんよなーと
見終わってみるとタイトルの意味合いが含みを持つようになるのも面白い


ただ、終始BGMが謎い(笑)
昭和初期の風情に驚くほど合ってないガットギターとカスタネットのフラメンコセッション
そしてそこに布施明っぽいええ声で「それがですな〜、それがですな〜」とナレーション風の歌が乗っかって、もう笑ける笑ける
毎回シリアスな雰囲気な中で流れ始めるから、箸休め的に緊張感を緩めて観客の情緒を不安定にさせるために狙ってやってるのか、大真面目にやってるのか、判断がつきかねる…
ムー

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