青二歳

オール・ザ・キングスメンの青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

オール・ザ・キングスメン(1949年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

田宮二郎クリソツのジョン・アイアランド。また田宮二郎がやりそうな役所だし余計にそう見える。いや彼なら下品なスタークも演じられるに違いない。それも河内弁か何かで。
監督が赤狩りの対象になったからといってもGHQ時代でなければ公開年に日本に入ってきただろうと思う。というのもこれは共産主義的なアカ映画でもないし、反体制の映画でもないから(終盤には議会や判事など体制側が良心の砦として描かれている)。この映画で最も印象的なのは騙される有権者。実は組織的に動員されたデモ、スタークの民衆を煽る演説、メディアが配信する記事、すべてが虚構であり“キャンペーン”に過ぎないことが暴かれている。デモだとかメディアの記事だとかが民意を表すなんて嘘っぱちだと言い放ってしまう。新聞を統制していたGHQがこの映画を嫌ったのはその点ではないかと考えている。

占領期、ハリウッド映画などはGHQの配下のセントラルを通じてのみ配給されたので、アカ映画なり赤狩りの監督作品なりは輸入されなかったらしい。戦前はカリガリ博士などの前衛的な作品や、フリークスなどの問題作であっても1〜2年くらいで輸入されているのが面白い。当時の日本が貪欲に世界中の表現作品を輸入しようとしていたように見受けられる。
青二歳

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