シネラー

ショーシャンクの空にのシネラーのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
5.0
午前十時の映画祭にて再鑑賞。
言わずと知れた名作だが、
爽快な展開の中で人生における
希望や自由を描く、
紛れもない傑作だと思う。

妻とその愛人を殺害したとして
終身刑を受けた元銀行員のアンディが、
劣悪な刑務所内で自身の力を
発揮していく内容となっているが、
アンディの憧れてしまう位の人間性と
その生き様はとても魅力的だ。
無実を訴えて刑務所へ収監された事で
身を腐らせていくのでなく、
当初から希望を糧に何十年も進み続ける
忍耐力と原動力には脱帽しかなかった。
アンディが刑務所内に欠かせない存在
となっていく展開も面白く、
屋上でのビール、刑務所内の会計業務、
図書の増設、レコードの放送、
それぞれのエピソード一つ一つに
コミカルさや爽快感があって良かった。
そのアンディと友人となる
囚人のレッドだが、
彼の視点で物語が進行する事で
アンディを客観視する事もできる為、
視聴者にとっても良い語り部だと思った。
アンディとレッドのラストカットは、
粋な上に美しい風景と友情が
合わさっていて大好きだ。

時代的な事もあって残酷な囚人達への
仕打ちといった描写もあるが、
高齢で仮釈放となったブルックスの顛末
は本作で最も哀しくなる場面だ。
望んでいた筈の自由が
生きづらさを与えてしまうのは、
自由や希望といった事に対して
複雑な感情を抱かせる部分だった。
それに対して、
何十年も希望を持ち続ける事で
自分を必死に生き続ける事ができた
アンディの行動力は、
人間としてとても前向きで
憧れる生き方だと思うばかりだ。
アンディの脱獄計画が単純で
彼の罪が冤罪かが曖昧といった
気になる点はあるが、
物語としてその点は重要な部分ではない為、
そこをとやかく言うのは野暮だろう。
結末に至る迄のアンディの
"必死に生きた"という過程やそこに伴う
希望が物語として最も大切だと感じられた。

清々しい後味を残す映画であり、
夢や希望を見出して生きた末の自由を
描いた快作だと思った。
夜の雷雨の日には
本作の場面を連想してしまうが、
上半身裸で自由を感じるのは止めておこう。
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