TakashiM

海の上のピアニストのTakashiMのレビュー・感想・評価

海の上のピアニスト(1998年製作の映画)
3.7
この映画、サントラ盤だけは20年も前から聴いていたが、なぜかきちんと観てこなかった作品。

ニュー・シネマ・パラダイスの監督、フィルマ高評価ということで、いよいよ満を持して鑑賞。
風呂場にジュースを持ち込み、嗚咽ばっちこいや!とばかりにスタンバイ。


結論から先にいうと、嗚咽は出せず。
ラストのオチの感想は「これはまあしゃあない」となってしまった。

音楽は素晴らしかった。
CDに焼いて何度も聴いたあのピアノのメロディが生まれるシーンは、ほんとに美しくも厳かなシーン。
ジャズの掛け合いも、これまたアツいシーンで大好きだった。
マックスとの友情も美しかった。気の合う友人というのは一瞬でわかるものだね。


で、ストーリーの核心の部分。

少々ネタバレ。


1900は、天才ピアニストでありつつ、先天性の強烈な引きこもりだった。
人は一度引きこもると、外の世界に対して強い抵抗感を感じてしまうもの。
1900にとって、船の上での生活そのものが彼の世界の全てであり、船+ピアノが、彼の存在意義になってしまっていた。

生まれながらにそんな状態だったのだから、親友がどれだけ説得を試みても、船の外には出ようとせず。
船から出ることは、彼自身の存在否定になってしまうから。
おそらく一度出ようとした時、それに彼自身が気づいたのだろうね。

なので、辛い別れではあったが「陸地は僕には大きすぎる船」というセリフに尽きる。
これが出てしまった時点で、期待していた嗚咽フィーバー状態というよりは、スッキリと納得してしまった。

「人生は無限だ」という言葉が中盤で登場するおかげで、船の外の世界を謳歌する=無限の可能性が広がっている、、と匂わせておきながら、無限だったのはピアノが生み出す音楽だけだった、、という皮肉をきかせたようなオチにつながっていたとは。

さて、、ガツンと泣ける映画探して明日観るかな。。
TakashiM

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