ユースケ

リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦いのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ブラム・ストーカーの【吸血鬼ドラキュラ】よりウィルヘルミナ・マリー(ミナ・ハーカー)。
H・R・ハガードの【ソロモン王の洞窟】よりアラン・クォーターメイン。
ジュール・ヴェルヌの【海底二万里】よりネモ船長。
スティーヴンソンの【ジキル博士とハイド氏】よりジキル博士とハイド氏。
H.G.ウェルズの【透明人間】よりホーレイ・グリフィン。
イギリス文学界のヒーローを集めた怪人連盟の活躍を描いた鬼才アラン・ムーア原作の【リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン】の映画化。

原作では、英国諜報局長Mの指令を受けた英国諜報局員キャンピオン・ボンドが、元吸血鬼であるウィルヘルミナ・マリーに怪人連盟の結成を依頼し、東洋人による世界支配を目論む怪人・悪魔博士(サックス・ローマーの【怪人フー・マンチュー】より)に盗まれた反重力物質ケーバライトを奪還するお話でしたが、映画では、ヴェネツィアで開催される国際平和会議を妨害する事によって世界大戦を引き起こそうとする仮面の武器商人ファントム(ガストン・ルルーの【オペラ座の怪人】より)の陰謀を怪人連盟が阻止するというお話に変更。
著作権によって透明薬を発明した科学者ホーレイ・グリフィンは透明薬を盗んだ泥棒ロドニー・スキナーに変更、ポリティカル・コレクトネスによってフー・マンチュー博士は削除、なぜかキャンピオン・ボンド(ジェームズ・ボンドの祖父の設定でロジャー・ムーアが演じる予定だったので残念)も削除、代わりにマーク・トウェインの【トム・ソーヤーの冒険】よりトム・ソーヤーとオスカー・ワイルドの【ドリアン・グレイの肖像】よりドリアン・グレイが追加。
色々な理由でキャラクターが入れ替えられたり、ストーリーが変わったりするのは仕方がないのかもしれませんが、アラン・クォーターメインのジャンキー設定、ネモ船長のテロリスト設定、ジキル博士とハイド氏の殺人鬼設定、ホーレイ・グリフィンの強姦魔設定など、ヤバい設定をことごとくデオドラントしてしまうのはいかがなものでしょうか?これではショーン・コネリーとゆかいな仲間たちの冒険です。
ラスボスのファントムもショボすぎて話になりません。怪人連盟を結成したMと同一人物である事がサラッとバレ、その正体はシャーロック・ホームズの仇敵モリアーティ教授である事もサラッとバレ、逃げてばかり。つまんな。

みどころは、インド式の装飾を施したノーチラス号やネモ・モービルの空想特撮的デザイン。細マッチョのジキル博士が筋肉団子のジキル氏に変身するシーンもたまりません。二人を演じ分けたナサメン(情けないイケメン)のジェイソン・フレミングの腹筋にも注目です。

とりあえず、ラストシーンはあやふやにせず、死んだはずのショーン・コネリーの手が墓から出てきて銃を掴むシーンでしっかり続編を匂わせて欲しかったです。

ちなみに、監督のスティーブン・ノリントンのすっトロイ撮影スタイルに、製作総指揮のショーン・コネリーがぶち切れ、ファイナルカット権を取り上げたのは有名なお話。その後、スティーブン・ノリントンも、ショーン・コネリーも、映画界から姿を消してしまいましたが、いつの日にか二人が和解して怪人連盟が宇宙生物と戦う続編を作っていただきたいと思う今日この頃であります。