拘泥

サクリファイスの拘泥のレビュー・感想・評価

サクリファイス(1986年製作の映画)
4.5
1カット目からフルスロットルに人を生きるをべらべらべらと語りまくるは言葉なき子供に相対す独白だった所から堪らなく良い。精神と物質、人はその進化に全く追いついていないという事に病む、そればかりのタルコフスキー見てアゥ〜ン言ってるそればかり俺。
words,words,words、勘弁してくれ。映画で即ち人生で喋り過ぎることを徹底的に痛みながらその罪として画面に刻印しながら言ってることがあまりにわかりすぎるから勘弁してくれ学問でがんじがらめ勘弁してくれ、を感じつつタルの事だからここから全部ぶち抜いてくれるんやろうなという前置き眺めつつ。

犠牲無くしてなんの贈り物だ?世界がこのようなら美しいのに、真理はない。などとこいつは血管の先まで映画を撮るしかなくそんなことを言うしかない。そうして人の行動はなぜいつもなすべきことの逆なのでしょうとか言うんだよ。
かっちりと、否、タル的に言えばむしろのんべんだらりと、ニーチェを序に永劫回帰を述べた後に、貴方しかコレらを救えるものはないと「主」へ祈る。明日も今朝と同様にしてくれと祈る。変わりゆく暴威に身を焦がしながら。ある一夜を明けてタルり過ぎな音と絵面とカメラワークに眉間ぶち抜かれる。ほんで日本の木、木本当にね。盆栽みてえなね。日本の音楽!穏やかなお顔!ぷらっとボケ老人、曰く心配するな!にはマジでワロタ。マリアに走って逃げて、おもろすぎな。

タルはストーカーからなる三連の作品で徐々に己を遂に終に見て行った様だ。ここまで弱さに向き合うというか、剥き出しに素直になったことが驚きだ。「助けてくれ」だぜ?いや実に驚きである。「コンチキショー共てめえら映画を手にしたのは俺だ、俺がやるしかねえ!カタカタカタカタカタ」的な叫びから「映画を手にしたのは俺だ、俺がやるしかねえ…カタカタカタカタカタ」的なクウガ2話から48話の五代さんの様な変化である。人間に見えてたがマリアに母とはね。終末とはお前もお前も如何ではないという事で愛とはその後に如何とすることだ。同時に確かにその沈黙、十字に運ばれて残された者はあんまりだ。しかし、ぼ、坊やぁ!!!レヴィナスも言ってたよ「息子」こそ、と。夜は明けた。il yaが明けたか?息子に捧げるの熱すぎるだろ。
拘泥

拘泥