さうすぽー

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのさうすぽーのレビュー・感想・評価

5.0
自己満足点 97点

どんなに人生につまずいても、絶望しても、タンゴのように躍り続ければ良い。
「タンゴは人生と違って間違えない。間違ってもタンゴは続くのさ」とアル・パチーノは言ったけど、人生だって間違っても続いていくから希望だって持てる。
これを、今作を通して教えられました。

アル・パチーノの代表作ですが、初鑑賞ながら非常に感動しました。
何で今までこんな素晴らしい映画を観ていなかったんだろう...
初鑑賞の作品でこんなにも言葉にならない感動が込み上げてくるのは本当に久し振りです!


セント・オブ・ウーマンを直訳すると「女の香り」なので、アル・パチーノと女性のラブストーリーと勘違いしてたのですが、あらすじを読んでて正解でした(笑)
実際は、アル・パチーノ演じる盲目の元軍人と若い男学生との交流と友情を描いたヒューマンドラマ。

男の苦学生が、ある日学校でとある男の世話係をするというアルバイトを発見し、アルバイト先に訪れたら、アル・パチーノ演じる盲目の退役軍人と出会い、傲慢で口の悪い彼に戸惑いながらも徐々に感化されていき、友情が芽生えるという話で、単純なあらすじを聞くと「グッド・ウィル・ハンティング」等によくあるヒューマンドラマの印象を受けますが、人生の哲学について勉強になる台詞や話が凄く盛り込まれていて、非常に奥深い映画です。

アル・パチーノは今作で初めてアカデミー賞主演男優賞を受賞していますが、自分も今までで観た中で一番素晴らしいと思っています。
「ゴッドファーザー」や「ヒート」、「スカーフェイス」等の数々の映画を観てきましたが、目の演技や動きが本当に素晴らしく、常に目を開けていながら視線が全く動かない姿が非常にリアルです。
また、元軍人からでる豪傑な一面と、人間的な弱さ、そして精神的に衰弱していく様が本当に見事で、特に終盤の二人のクリス・オドネルとの演技と最後の演説は本当に圧巻で、アル・パチーノが出る度に彼の独壇場になってしまう程の存在感です!
彼が名俳優と言われる理由がこれでもかと言うくらいに見せ付けられました。
彼は今年80歳になったそうですが、今後も長く生き続けて生涯現役を貫いてほしいです。

また、クリス・オドネル演じる苦学生もアル・パチーノの身勝手さに翻弄されながらも彼の哲学や言動に尊敬するようになり影響されていくのですが、次第に彼の高潔さにアル・パチーノ自身も惹かれていくようになり、終盤の場面は本当に映画史に残る名場面だったと思います。

レストランでの若年女性とタンゴを踊るシーン、二人でフェラーリに乗って爆走する場面、そういったシーンも非常に印象に残って本当に大好きな映画になりました。


自分もこれまでの人生でつまずいたことは何度もありますし、これから先も何度もつまずくかもしれません。
そうやって挫けそうになった時、この映画のテーマを思い出して前向きになれれば最高です。

これからもこの映画を大切にしたいし、そういう映画にまたしても出会えたのが本当に嬉しいです。